園長のお話し

失敗してもいいからね

 

 - 井石 彰

新型コロナウイルスの感染にたいする心配がつづいています。ご家庭でも外出をひかえている方が多いのではないでしょうか。幼稚園でも例年と同じように活動することが難しくなっています。感染が一日も早く終息して、子どもたちがのびのびと遊べる普段の生活に戻れることを祈らずにはおられません。
この頃、教育の分野で「レジリエンス」という言葉を聞くようになりました。それは、自分に不利な状況や環境にも適応することのできる能力を意味しています。精神的な「回復力」、「抵抗力」、「耐久力」のことです。その「レジリエンス」が弱い人が、いま若い人たちの中に増えていると言われています。たとえば、何か失敗したらひどく落ち込んでしまって、もうダメだと思ってしまうのです。その人たちは子どもの頃からいつも失敗しないようにとレールを敷かれて、そのレールの上を歩んできたために、失敗したときにどうしたらいいのか分からなくなってしまうのです。その「レジリエンス」を高めるためには、小さい頃から遊びの中で何回も失敗することが大切であると言われます。ある保育専門の先生は、「保育とは上手に失敗をさせてあげることである」と言います。子どもが失敗しても温かく見守り、失敗から学ぶのを応援していくこと、それが保育であるというのです。私たちもそんな保育を心がけていきたいと思います。
キリストの伝道者として有名なパウロはさまざまな苦難に遭いながらも、「わたしたちは四方から苦しめられても行き詰まらず、途方に暮れても失望しない」と語っています。これほど「レジリエンス」の高さをあらわしている言葉はありません。そこには、何度失敗をしても、決して見捨てることなく愛しつづけていてくださる神さまの愛への信仰がありました。新型コロナウイルスのもとで、今こそ一人一人の「レジリエンス」が問われているのかも知れません。